親のプライドって何?

さあ、そろそろ夕飯の出来上がり。
なのに、約束の時間をとうに過ぎて
まだパソコンの前に座っている娘。

いい加減気づけよな、
パソコン使用時間を過ぎていることと、
夕飯の支度ができていることに。

そう思った私は名前を呼んだ。
名前を呼べば、全ての状況判断ができると思ったのだ。

でもパソコンの椅子から立ちあがった娘は、
「歌の練習してくるね」

・・・・・・・・・・・・
「はあっ???」
もうご飯なんだけど、わかんないの?
っていう感じである。

娘は「ご飯ができたんなら、ご飯よって言ってよ」と言う。
私は「時間を見て、ちょっとは判断しなさいよ」と言う。

これが発端でああだ、こうだ、
また食事前に面白くない状況になってしまった。

ご飯の時間を大事にしたい私は、こんなの大嫌い!
だいたい「ご飯の直前までパソコンをしないこと」
というルールからも今日は外れていて、文句を言う筋合いではない。


ご飯を食べ始めても、娘はだんまりで食べている。
しばらくたって、
「もうちょっと時間とまわりの状況に気を配ったら?」
と言ったが、

「だって、名前を呼んだだけだったから、
パソコンをやめなさいということだとしか思わなかったんだもん。
ご飯ができたんなら、ご飯よって言ってくれればいいじゃない!!」
と言い張る。

何を言っても、これの繰り返し。
こちらの言いたいことを聞く気はないらしい。

人の言うことに耳を貸さないとも言えるし、
絶対譲れないところは、なんと言われても譲れないという
頑固さと言うか、信念とも言える娘のこの性格。

「あんたさぁ、人の話は何にも聞かない、
反省もしないで何なのよ。自分の主張ばっかり!
親の私の言うことも聞かないで!」
と内心思っていた。

親のプライドにかけても、折れるわけにはいかない。
私は間違っていない・・・・・と思った。
話は平行線のまま、食べ終わった娘は泣きながら自分の部屋へ。


ひとり残された私は考えてみる。
こちらの意図がわかるくらいもう成長していると
勝手に思っているけれど、
実際はまだもっと子どもなのかもしれないなぁ。

私が名前を呼んだあとにひと言
「ご飯よ」っていえば、こんな状況にはならなかったんだ。

確かに、もう8時前だった。
約束のパソコン使用時間30分間はとっくに過ぎていた。
ご飯の直前までパソコンをしないというルールもあるんだし。

そんな状況で何かひと言でも言われたら、
当然パソコンをやめなきゃいけないことと
もしかしたらもうご飯が出来たのかもしれないことを
感じてくれるはずだ・・・というのは、大人の感覚。

子どもの頃母が、何かと忙しそうにしていた挙句、
突然「○○ちゃん!!」と叫ぶ。

手伝って欲しいのだなということはわかるけれど、
わかるようにちゃんと「これこれを手伝ってくれない?」
と言わないのがすごく嫌だった。

母の、
「自分の状況をみて手が必要なのはわかるだろう、
言わなくても手伝ってくれて当然」というのが見え見えで、
すごくいやらしいと思ったものだ。

手伝って欲しいなら、「手伝ってね」とか
「手伝ってくれないかなぁ」
と言ってくれればいいのにと思ったものだ。


もしかして、私が言っていることって、母と同じ?
とふと思った。
自分が笑えてきた。
母のようにはなりたくない!

何でさっき、「ごはんできたよ」
って言わなかったんだろう。

自分の気持ちの中で、
自分の都合のいいときだけ娘を成長させてはいけない。
自分が12歳の時はどうだったか、
よく考えながら娘と接しないといけないと思った。


娘の部屋に行き、うつぶせている背中に、
「お母さんの言葉が足りなかったかもね。ごめんね」と言った。
あとは娘の気が鎮まるのを待つだけ。

親のプライドって何なんだろうと思った。

子どもの意見は尊重しないといけないと思っているし、
自分が子供の頃親に対して理不尽だと感じたことは、
自分の子供には絶対しないと思っているのに、
ふとしたことでそれが崩れる。

私はあなたの親よ。
いうことを聞きなさいよ!と思う。

でもね、そういうときこそ、冷静にならないといけない。

私の母親は、そういうことに気づくコトがなかったから、
私は母に心を許せないままに育って、
今でも母には心を許せない。甘えることができない。
娘として何一つ相談できない。

娘には絶対にそういう思いをさせたくないと思う。
こっちがもう少し素直にならないといけないのかなぁ。。。


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